紹介
編集草間彌生の作品は、その鮮やかで明快な表現から、しばしば「ポップ」と形容されてきました。背景をたどると、彼女が拠点としていた1960年代のニューヨークで花開いたポップ・アートとの接点が浮かび上がります。一方で草間の創作は、幻覚や強迫観念といった特有の個人的な動機に根ざしており、日常のイメージと内なるヴィジョンとを重ね合わせながら、独自の作品世界が築かれました。 本展では、草間ならではの「ポップ」をテーマに、多彩な創作の広がりをご紹介します。郵便用ステッカーなどの同一の印刷物で画面を埋め尽くすコラージュは、大量消費社会の様相を映し出すとともに、草間を制作へと駆り立てる強迫的な衝動を露わにします。マネキンにマカロニをびっしり貼り付けた立体作品もまた、大量生産される画一的な食物と、彼女個人の内面のオブセッションとが深く結びついた表現です。こうした反復の志向は、作家自身の姿をモチーフとした自画像等にも及び、版画や写真、チラシや展覧会ポスターといった媒体を通して増殖し、流通していきます。 帰国後の平面作品や近年の大型絵画・彫刻においても、原色を基調とする色使い、シンプルな輪郭、そしてお馴染みのモチーフの反復が、草間の感性を鮮明に印象づけます。さらに、カラフルな水玉が反射し合う初公開の小型ミラールームや、空間を彩るバルーンを用いたインスタレーションも登場。イメージの変奏的な反復と稀有な色彩感覚が躍動する「クサマズ・ポップ」を、ぜひご体感ください。
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