紹介
編集2026年3月に金沢美術工芸大学美術工芸学部を卒業し、同4月からは大学院修士課程へ進学し、金工作家として活動する太田篤志氏の個展を縁煌/加賀依緑園(加賀市)にて開催いたします。本展では、ブロンズなどの金属に着色技法などを用いて立体作品15~20点を出展いたします。この機会にぜひご高覧賜りますようご案内申し上げます。 本展「Re Cast / Re Form」では、自分の中にある理想像を起点としながらも、その理想が制作の中で生じる自然現象や偶発的な形態によって変化し、更新されていく過程を扱います。当初思い描いていた像は、制作の中で現れる予期しない流れや重なりによって押し上げられ、より強いかたちへと変わっていきます。そうして生まれる作品は、ひとつの完成に閉じることなく、空間の中でなお拡張し続ける可能性を含んだ存在として立ち上がります。 本展では、理想を求める意志と、それを超えて現れてくる現象とのあいだにある緊張関係を通して、像が生成されていくあり方を提示します。私は普段、大学で鋳金を学びながら制作を行っています。鋳金とは、金属を高温で溶かし、型に流し込むことでかたちを得る技法ですが、その過程には、制御しきれない揺らぎや、素材と時間の作用によって立ち上がる予測不能な現象が含まれています。私にとって制作とは、あらかじめ頭の中にある完成像をそのまま再現することではなく、そうした現象に押し返され、押し上げられながら、当初の理想そのものが変化していく運動です。そこでは、最初に思い描いていた理想像よりも、制作の中で立ち上がってきた像の方が、より強く、より切実なものとして現れることがあります。大学院への進学は、そうした制作のあり方をあらためて見つめ直す契機にもなりました。これまで積み重ねてきた技術や感覚を引き受けながらも、それらを一度組み替え、自分の表現や制作への向き合い方そのものを、もう一度つくり直していく必要を強く感じています。 展覧会タイトルの「Re Cast / Re Form」には、鋳造という行為だけでなく、像のあり方、制作の構造、そして自分自身の表現をあらためて捉え直し、更新していくという意味を込めています。本展で立ち上がる像は、ひとつの完成として閉じるものではなく、空間がある限りなお先へと広がり続ける可能性を含んでいます。
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