ジャンル:現代アート
紹介
編集彫刻は立体があり空間があって、その境界線を探る仕事だと言う。今回の椅子を用いたインスタレーションは、その「境界線」の決定を外的要因に委ねるものだ。オブジェクトと空間の関係性がギャラリーに集う人、そう、あなたによって変化がもたらされる、流動的な彫刻であると丹羽康博は考える。近年は絵画も手がけている。ブラシではなく(グローブをつけた)手で直接、画面に絵の具を塗っていく。猛々しく密に生き絡む植物や景色のようにも見えるが、その実、具体的なモチーフはない。意識をすれすれで此岸に保ち、半ば無意識の状態で作為を徹底的に排除し即興的に描いていく。それはシャーマニックというよりは、かろうじて自我が霧散しないところまで透明になっていくような状態なのか。行為をするのは紛れもなく自分なのだが「ナニモノカ」によって描かされているようだ、とも作家は語る。先の彫刻と同じく、外的要因が作用して作品が成立しているのだと。存在と不在を感じさせる椅子というオブジェクトが置かれた空間に、時間が絵具と化して層となり積み重なった平面に、あなたは何を観て、どう介在するだろうか。
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